最近田舎暮らしが注目を浴びていますが、インターネットの普及でノマド的なライフスタイルが可能になりリアルな田舎暮らしが可能になったのも一因のようです。せっかく田舎に住むのですから自然を思いきり楽しめる住宅に住みたいと思いませんか?愛媛県ののんびりとした山間に佇むこの住宅は、ローカルな環境を最大限に享受することを軸に建てられました。Y.ARCHITECTURAL DESIGNの設計による住宅、一緒に見ていきましょう。
ご覧の通り周囲は緑深い山々が連なり、豊かな自然環境に恵まれた立地です。高低差のある地形を生かした地下1階、地上2階で構成される木造在来工法の住宅です。建物の側面全体に取り付けたテラスが外部環境との共存を目指した生活を象徴するかのように住宅に開放性を与えています。下部の石積みの壁がラフな感じで、のんびりとした雰囲気を醸し出していますね。
1階、すなわちテラスが広がるリビングです。掃き出しになっているので、開口を全開すれば外部環境と連続する開放的なデザインです。自然な形態を保ったどっしりとした梁が屋根の勾配をそのまま反映した天井をしっかと支えています。天井に埋め込んだダウンライトのすっきりとした照明がほとんど視界に入らないため外の眺めを引き立ててくれます。室内はドイツ製の本漆喰で仕上げているからでしょうか、自然な色調によっていっそう落ち着いた空間に感じられますね。
心地よい暖を提供してくれる薪ストーブも設置されたリビングで外を眺めながら過ごすその豊かな時間は田舎暮らしの最大のメリットと言えるでしょう。キッチンカウンターと一体化したダイニングテーブルという配置によって無駄のない動線が生まれ、機能性を高めてくれます。造作で背後の収納と統一することでよりミニマルなインテリアに仕上がっています。リビングエリアとダイニングエリアの開口を変えることで景色の見え方も意識したデザインが見事です。
地下1階にはガレージリビングといった贅沢な計画を行ないました。車やオートバイ好きの人にはたまらないですね。愛車を手入れしたり眺めたり多目的に使える空間です。控えめなスポットライトの照明が落ち着きとラグジュアスな雰囲気を醸し出し、ナチュラルな素材である木製の建具や天井とモルタル床のハードなイメージをうまく調和させています。
土地との関係性を考えながら住まうためのこの家には、ウッドデッキに地元の山で伐採した枝付きの椿の木を貫通させ、まるで森にいるような感覚を覚えるスペースが設けられまています。既存の樹木のように家の一部を支える部材によって自然に囲まれて毎日を過ごすことの素晴らしさを改めて実感するような仕掛けだと思いませんか?
自然のさえずりが聞こえ、東西に抜ける山からの風を感じるテラスにはクライアント自らが調達した植物を飾っています。 内部空間との関わりをそれぞれ持った すっきりと無駄のないテラス空間が居室の延長となって外で繋がります。
周囲の田んぼや畑といった外部環境との間に生まれる連続性を意識したテラスを含む開放的なリビングがこの家の中心となってこの場所に住むことの意味を伝えてくれるようなデザインが印象的ですね。田舎暮らしを考えている方、眺めの良い風景をいかに取り入れるか是非参考にしてみてはいかがでしょうか?