今回ご紹介するのは、治療院併用型住宅のリノベーションプロジェクトです。1階の鍼灸院の受付スペースを、近所の人が気軽に立ち寄れるようなコミュニティー空間としても開放することを目指して作られたこの治療院は、オープン&フレンドリーでいつでも居心地のいい雰囲気。和の趣が感じられる格子を多用した外観やインテリアデザインも魅力となっています。ショップやクリニック、飲食店などの併用型住宅に興味がある人や、木を使った優しい雰囲気の住空間に憧れている方には、何か参考となるアイデアが見つかるかもしれません。このプロジェクトは、長野県を拠点に活動しているスズケン一級建築士事務所/SUZUKEN ARCHITECTURAL DESIGN OFFICEによって手掛けられたものです。一体どんな様子になっているのでしょうか?さっそく詳しく見て行きましょう!
クレジット: Photograph © Eugene Makino / united LIGHTs
ロケーションは大阪府内。古い街道沿いにある治療院併用型住宅の1階部分にある鍼灸院をリノベーションするというプロジェクトです。横格子が多用されて、趣のある雰囲気が特徴的な外観。治療院の前を通りかかったら、つい気になってしまう印象的なデザインです。派手さはないですが上品さがあり、周辺の街並みに上手に馴染みながら、凛とした存在感を放っています。夜は格子と照明の作り出す光と影のニュアンスで、昼間とはまた違う美しい佇まいを見せてくれそうです。
鍼灸院は東洋医学の治療院なので、木という自然素材や格子という和風の要素を多用したデザインは、コンセプトとして内容的にもとても理にかなっています。また、クライアントさんは、この治療院をただの鍼灸院としての機能だけではなく、日常の中で近隣に住む人たちと自然に交流が生まれるようなコミュニティーとしても利用して欲しいと思い、受付スペースを大胆に開放した作りとしているのが大きな特徴です。
横格子を組み合わせたり積み重ねたりして出来上がったお洒落で優しい雰囲気の空間。外観デザインのアクセントとなっている他、通りからの視線をさり気なくカットし、安心して治療院で過ごせるように配慮しています。プライバシーをさらけ出し過ぎず、でも空間は閉じてしまわないように、快適さのバランスが取られているのが分かります。外観にもインテリアにもどちらにも格子がたくさん使われ統一感があることで、外部と内部の境界線が曖昧になり、初めての人でも訪れやすい雰囲気が作られているのもポイントです。
【格子については、こちらの記事でも紹介しています】
大きく開放された受付スペースには、広いベンチスペースや本棚を設置。待っている間に気軽に座って本を読んだり、近所の人とおしゃべりしながらリラックスしたりと、カフェにでもいるかのような明るい雰囲気で過ごすことが出来ます。鍼灸院という概念を取り払い、地域の人に親しまれる新しいコミュニティースペースとなることで、社会とのつながりを生み出しています。
こちらは鍼灸院内部の治療室の様子。障子と無垢材のフローリングからなるシンプルな和風の空間となっています。障子は直接的な日差しを和らげ柔らかい明るさを部屋にもたらし、無垢の床は優しい木の温もりが感じられ、弱った患者の心もじっくりと癒してくれそうです。診察や施術の間も落ち着きと安らぎが感じられるこの空間なら、安心して身を任せることが出来るのではないでしょうか。
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