現代の新しい住まい方として、シェアハウスが注目を浴びています。国外では、住宅費の負担を軽くするためや、住宅が少ないために見つかりにくい住宅事情があるためにひとつの住居をシェアする形態は一般的な風潮があります。しかし日本では戸建て・マンション共に空き家も多く、見知らぬ人と生活を共にする文化が根付いておらず今まではシェアという形態は多くありませんでした。しかし、住まい方の多様化や幅広いライフスタイルの普及、現代的な風潮も相まって近年このようなシェアハウスが徐々に増えつつあります。空き家をリノベーションし、それを有効活用できる新たな手法として今後もっと増えていくことが予想されます。今回ご紹介するのは、灯和屋(株式会社シェアスタイル)が手がけた古民家をシェアハウスにリノベーションした物件です。エスニックテイストを取り入れた、日本の古民家の新しい生かし方が斬新なスタイルとなりました。
廊下と畳、という空間を、ひとつは新しい間仕切りを設け、ひとつは廊下と共にフローリングに改装し、広々したスペースが作られました。襖はパーテーションに変えられ、フレキシブルに使うことのできるスペースが生まれています。少々暗い雰囲気だった廊下は、モロッコ風のクラックガラスが使われた照明が取り付けられ、温かみのある明かりが灯ります。カラフルな見た目の照明は古民家の雰囲気にもよく似合い、明るいイメージをあたえてくれるアイテムです。
昔ながらのキッチンはとても年代を感じさせ、老朽化が気になる佇まいです。現代のライフスタイルには使い勝手の良くない環境です。
痛みが気になる内装はリノベーションによって補修されたり、板張りなどがあしらわれ全く以前の面影を感じさせない姿に生まれ変わりました。全体は赤身のあるブラウンで統一され、もともとの構造体である木部も生かされながら味わいのある空間に変身しています。水回りは一新され、ところどころに間接照明にもなる暖かな雰囲気のライトで演出がされています。すだれを使ったさりげない仕切りや演出は、エスニックな雰囲気を盛り立てるのにも機能的にもぴったりです。古民家というと、多くはその佇まいを生かした和風へとリノベーションされることも多いのですが、こうしたアジアンなテイストとも相性は抜群です。
ひと目見ておどろいてしまうほどの老朽化を感じる内装です。痛みは激しく、壁のしみやカビのようなものがこの空間をよりおどろおどろしいような気配さえ感じさせます。本当に住める状態になるのだろうか、と誰もが感じたことでしょう。
整えられた内装や、この家のテイストを決める家具や小物で以前の雰囲気を全く感じさせない空間です。リノベーション前は、出来上がった状態が想像しにくかったり、いざ工事を始めてわかる困難が伴います。ひとつとして同じ物件がないため、幅広い実績が経験となり、さらに提案力や施工力が磨かれていく分野でもあります。しかし、以前の状態がマイナスから始まるならば、完成した時の感動と驚き、喜びは新築にはない感慨深さが伴うでしょう。今回のように、元の物件を生かしながらシェアハウスという新しい可能性を導いて行けるリノベーションは、今後もさらに注目されることでしょう。
リノベーションについては、こちらの記事でも紹介しています。
新築vsリノベーション。比較することで見えてくるそれぞれの良さ
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