今回ご紹介するのは、傾斜地に建つ延床面積100平米ほどのミニマムな住まい。磯村建築設計事務所によって手掛けられました。高低差が5メートルほどもあり、平地がほとんどない敷地ですが、建築家の技量によってその敷地の特性を生かした見晴らしの良い住まいが完成しました。では詳しく見て行きましょう。
敷地は閑静な山の手の住宅街に位置します。道路に面した駐車部分を考慮すると平地がほとんどない敷地のため、建物を一部地下に埋めるという方法がとられました。地下に埋まる部分は鉄筋コンクリート、そして上部は木造という混構造の住宅です。地下部分の防水や構造には十分な配慮がなされ、また湿気対策としてドライエリアをもうけ、床下の機械換気や断熱等にも気を遣うなど傾斜地でも安心して住めるよう考慮され計画されています。東側から見ると木造平屋建てのような佇まい。こちらのファサードは、防犯を考慮して最低限の開口のみ設けられています。外壁はヒノキ羽目板と角波の板金仕上げのコントラストが印象的な和モダンの趣です。玄関先の敷石も美しいですね。
南側からの外観です。傾斜地に建つ様子がよく伝わってきますね。左官仕上げの部分の白、ヒノキの木部、そして角波の黒、3つの異なる素材感と色が用いられたファサードですが、すべての要素がよくなじんでバランスの取れた落ち着いた雰囲気の外観となっています。
和室からは半階下のリビングダイニングを望むことができます。杉表しの天井が美しいですね。角部を開口とすることで、眺望、通風、採光を最大限確保することができ、また空間に広がりが生まれて開放的な雰囲気に。広々としたバルコニーとはフラットな床面でつながっており、障子や窓を開放すれば一体的な空間として使用することができます。バルコニー上部の軒も深く、夏でも快適に過ごすことができます。
子ども部屋の窓にも障子が採用されています。カーテンやブラインドよりも光の入り具合を柔らかく調節でき、さらに視線を遮ることもできます。そしてなによりこの住まいの雰囲気にマッチしていますよね。