自宅にオフィスやアトリエを持ち仕事をする人にとって、作業に集中できる環境が整っているかどうかは大事なポイントです。今回ご紹介するのは、写真家であるクライアントさんのために作られたアトリエ。自宅がある敷地内に離れとして建てられたこの平行四辺形のアトリエは、仕事場として最適な環境が整っているだけでなく、建物としてもお洒落で見る人を楽しませてくれます。狭小敷地に建てられたこのコンパクトでモダンなアトリエを手掛けたのは、茨城県を拠点に活動する小平惠一建築研究所です。一体どんな様子になっているのでしょうか?さっそく詳しく見ていきましょう!
撮影:齋藤さだむ
ロケーションは、地方都市にある閑静な住宅地です。写真家であるクライアントさんは、自宅のある敷地内に離れとして仕事場のアトリエを依頼しました。そこで、自宅の南側の庭部分をアトリエ用の敷地として利用することに。住宅の採光等に影響しないよう配慮した結果、アトリエは敷地の南西角の位置に建てられました。離れと言っても建物のスタイルが自宅とは全く異なるので、狭小敷地に建つ住宅のようにも見えますね。建物の角が三角に切り取られ開口となっており、お洒落でモダンなアトリエ棟が出来上がりました。
こちらは、南西側のファサードの様子。方向を変えて見ると、ガラリと印象の変わるユニークな建物ですね。真っ白でシンプルな外壁に、スリット状になっている2か所の細い開口部が、デザイン的にアクセントとなっています。この地上2階建てのアトリエには、1階は現像室とスタジオ、2階にはトイレと書斎が設けられています。
アトリエを北西側から見た様子。こちらからも、また違ったアトリエの外観が楽しめるようになっています。アトリエを「離れ」として建てるというアイデアは、集中して仕事や作業に取り組むことが出来る上に、仕事を終えたらすぐに帰宅出来るので、実に便利な環境と言えるでしょう。さらに、各方向で印象が変わるこの建物は、道行く人をいつも楽しませてくれる存在となっているのではないでしょうか。
こちらは1階にある撮影スタジオの様子です。棚の向こうに見える赤い壁の部分は、現像室となっています。撮影スタジオと言われてイメージするのは、窓がなく真っ白でニュートラルな空間か、モノトーンで機械的なものにたくさんあふれた少し冷たい空間。このアトリエは、棚やドア等に部分的にナチュラルな素材を使ったり、所々に大きさの違う窓があったりして、少し柔らかな印象のスペースになっているようです。開口の向こうにはのどかな景色が広がり、仕事で疲れた心を癒してくれそうです。
こちらは2階にある書斎の様子。大きい開口部から光が差し込み、オープンで快適な雰囲気となっています。広々とした造り付けの机や棚が設けられ、本や書類等が溜まってしまっても十分な作業スペースがあります。また、作品や書類の整理や分類もしやすそうな印象。長時間、目や頭を酷使する作業に疲れたら、ちょっとした休憩に外の景色を見てリラックスするのも良さそうです。