周囲の風景をフレームのように切り取る窓。室内の採光と通気性、開放性などを高めるだけでなく、窓の種類によって様々な機能や効果を持っています。ガラスの素材にこだわればそれだけで快適な室内環境作りにつながりますよ!今回は機能別に代表的な窓の種類を紹介します。
近隣家屋が迫っている住宅密集地や、交通量の多い道路に面している敷地に立つ家では、外部の騒音をカットして静かな室内を保つ機能のあるガラスとサッシを選ぶと良いでしょう。そうすることで外側からの騒音を防ぐだけでなく、あなたが楽器の練習を毎日するという場合や、ゲストを大勢呼んでホームパーティーを開催するのが趣味という場合、または元気いっぱいの成長期のお子さんがいるという場合などに、内部から出る音で近隣住民へ迷惑をかけることを防ぐことができます。大切なのはガラスとサッシの隙間を無くし、サッシ同士の接合部も密着するように作られた気密性の高いもので二重窓にすることです。単なるペアガラスよりも、室内にもう一枚窓を取り付ける感覚で空気の中間層を10cm以上確保すると、かなり防音効果が高まります。
暖房をいくらつけていても暖かい空気は窓の隙間からどんどん逃げていってしまいます。気密性の低い古い家屋で起こりやすい現象です。窓から逃げる熱は壁の二倍以上と言われており、室内の暖かさを維持したいなら空気やガスを中間層に閉じ込めたペアガラスにしましょう。特に断熱性と気密性を高めた高機能ペアガラスなら、太陽光を取り込みつつ暖房熱を逃さないので効率的に部屋を暖め、維持します。カーテンを床まできちんと届く厚手のものに変えるとさらに保温効果が上がりますよ。
Photo:Shingyo Ozawa
夏場も涼しい室内を維持できる窓の種類は、太陽熱や紫外線をカットする遮熱タイプのペアガラスを使用したもの。室内の温度を上げないためには外部でまず熱を遮断することが大切です。高機能な遮熱ペアガラスはまず一枚目のガラスで半分以上の熱を遮断できる上、ガラスそのものは透明なので室内の明るさも保つことが可能。さらに軒下によしずを立てたり、窓のすぐ外側にゴーヤやヘチマ、朝顔など緑のカーテンとなる植物を育てれば、日差しを遮りフレッシュな酸素を排出する天然のクーラーとなります。
こちらの住宅は三重県に拠点を置く大森建築設計室によるもの。
特に蒸し暑い夏場には、寝る時や出掛ける前に風通しのために少しだけ窓を開けておきたいと思いますよね。外部と内部をつなぐ窓は安全性の高いものを選ぶ必要があるので、サッシに防犯ロック機能が付いている種類を選ぶと良いでしょう。風通しを確保する分だけ窓を開けてロックすれば、外部からはロックを解除したり、もちろん窓を開けることはできません。小さなお子さんがいる家庭ではチャイルドロック機能が付いたものにします。窓から身を乗り出して落下したり、開閉によって指などを挟む事故を防ぐことができます。
Photo : akihideMISHIMA
窓の種類はたくさんあります。天窓や高い位置に設置するハイサイドライトは、壁に開口部が取り辛い間取りや北側でも採光を確保してくれる窓ですが、高すぎる位置にあると窓ふきがとても大変ですし、通気性の為にはめ殺しではなく開閉ができるタイプにしても、ロックの位置まで手が届かないので結局ほとんど開けることがない… なんてことも。ヨーロッパ風の住宅に憧れて観音開きや縦型滑り出し窓にすればモダンで素敵なインテリアを作ることができるかもしれませんが、それらはドアのように開ける仕組みなので、開けた窓が動線を邪魔したり、子供がぶつかって怪我につながる可能性もあります。デザインだけでなく誰にとっても使いやすく安全な窓を選ぶことが大切です。
あまり馴染みのない窓の種類をあげると例えば、床近くに設置する横長の窓であるローサイドライト。足元に窓があっても景色が見えないし日光も入り辛いので意味がないのでは?と思う方もいるかもしれません。しかし、プライバシーを守りつつ柔らかな光を取り入れるので、坪庭と組み合わせると日本的な控えめで情緒溢れる美しさを演出できます。廊下や和室に設置すれば印象的な空間作りにつながりますよ。